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生命のタライまわし勤務
pp.39
発行日 1961年7月1日
Published Date 1961/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202166
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調子のよくない未熟児が今日は何人かいて重苦しい勤務だ.もう11時.さすがに夜気が窓の外に感じられる.気をつけていた児がチアノーゼを起す.もうちよつとの間だ.突嗟に注射.「応急の場合はその限りにあらずか.保育器にどんどん酸素を入れて.そしてようやく准夜勤務が終る.申しつぎがすんで,ああよかつた,責任は終つた!
こんな風に,赤ちやんの可憐な生命が勤務交代と一緒にタライまわしされてゆく.自分の勤務中に死にさえしなければいいのだといつた,生命の一寸のばし,タライまわしが全くなされていない訳ではない,未熟児室ばかりではなく,凡ゆる看護の場にいえる勤務者気質.サラリーマン根性という事なのかもしれない.従来しばしばいわれる勤務助産婦の生命を守ろうという熱情と誠意の稀薄さは,いくら言つても言い足りない課題であろう.
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