私は考える
看板と丑年
杉本 外喜子
pp.39-40
発行日 1961年5月1日
Published Date 1961/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202123
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一昨年のある朝のこと,ふと外へでて驚いた.玄関の外に掛けて置いた助産婦の看板が見当らない.さては長男のいたずらかしら? 日頃助産婦をしていることを,いやがつていたから……と思つて聞いてみたが知らないと言う.家中の者に聞いてみたが,誰も看板の行くえを知らない.
どうせ最近はお仕事もめつきりなくなつたんだし,いつそ,そのままにしておこうかしらと思つてもみたがそうは行かない.それで,今度は思い切つて,これまでの木の看板じやなくつて螢光灯入りのを作つてみた.今迄目立たなかつた昔ながらの木の看板と違つて,目立ち過ぎる位.どうせ新しく作るんだからと,家族計画指導も一所に書き入れた,ところが,これが子供達の話題にのつたらしい,益々長男はいやがる.「家族計画の指導つて,どんな指導するがや」等と,長男にお友達が訊ねたという.中学3年生の長男はそれを言われただけで赤面したらしい.
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