随筆
恨みは深しサルバルサン—或る助産婦の告白
斎藤 正実
pp.39-40
発行日 1960年12月1日
Published Date 1960/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202041
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戦争前には今日のような医学の発達,ことに予防医学の発展は考えることも出来ませんでした,田舎の漁師町で温泉場,そんな町では梅毒が大そう流行つて居りまして,俗に,色気とかさつ気のない人間はないと申しますが,全くその通りでございました.
私はこの町で30年来,助産婦を致しておりまして,自分からこう申上げるのも何でございますが,町の皆さん方のごひいきを頂いて,この町では一,二というくらい流行りまして,今では助産所をつくつて,毎日生き甲斐ある暮しを致しております.
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