口絵解説
テレビをたのしむ赤ちやんたち—乳幼児むけテレビ番組の誕生によせて
秦
pp.37-40
発行日 1960年10月1日
Published Date 1960/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202005
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◇赤ちやんとテレビと◇
テレビがどれほど普及したかについては,何も統計に頼る事はありません,どこか街角に立つてくるりと一めぐり見わたす丈で,林立するアンテナが実感に於てそれを教えてくれましよう.都市ばかりではなく、テレビ電波の伸びゆくにつれて遠く山村漁村にまでこの新らしい文明は手をひろげています.局が増え,番組が増えれば,商戦に知恵をしぼらねばならず,いきおい「一億総白痴化」などとおとしめられるようなプロが横行しはじめました.教育番組と銘打つたものが出現したのもそれのやむをえない反動だつたでしようか.しかし,考えてみれば,視聴覚をフルに活かした家庭の中のスクリーンほど,強力なマスメディアはないのですから,使い方次第では立派な教育の手段になる訳です.各種の学生生徒むけのものは勿論,一般の大人たちのためにもいわゆる教養本位の番組が数多く提供されつつあります.勿論「花嫁教育」だつて教育的なものといえるのでしようが.
それやこれやで,世は挙げてテレビ時代.従つて,産湯をつかうその瞬間からして,人はその生れながらの生活環境としてのテレビ的雰囲気を所有するのです.赤ちやんとても,決して無縁とはいえません.
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