今月の言葉
今月の言葉
勝木 新次
1
1労働科学研究所
pp.9
発行日 1960年9月1日
Published Date 1960/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201976
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「胎教」という古い言葉がある.生れ出る子供の教育はすでに胎内にある時から始められるべきだと考え,妊婦が修養をつむことを意味している.如何にも東洋的な精神主義の匂いの強い言葉であるが,胎児には母体の血液が循環し,胎児は母体から栄養をうけている.従つて妊娠期間中の母体の栄養は胎児の発育のためにも特別な重要性をもつているが,もつと広い意味での母体の健康が胎児の将来に影響するわけであり,精神と身体との相関を重視する見方からすれば,妊婦が安らかな精神生活を心懸けてゆくことも大切であるといえるかもしれない.
そのことと直接には結びつかないかも知れないが,助産婦の仕事は単に出産の介助ということだけではなく,妊娠期間中の生活についてよき相談相手となつてゆくという点も軽視できない大切な仕事だといえるのではないかと思う.
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