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武蔵野赤十字病院附属整肢愛護棟の一日
大西 恵子
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1武蔵野赤十字病院整肢愛護棟
pp.33
発行日 1960年8月1日
Published Date 1960/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201964
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中央線に揺られて都心を離れること半時間——線路の両側にぎつしりとつまつた家並もいつしか広々とした畑に変ります.車窓に映る雑木林に武蔵野の面影をしのぶ頃,緑の木立を通して青い空にくつきりと浮き出た赤十字のマークにお気づきの方もいらつしやいましよう.遙かに奥多摩の山山を臨むここ武蔵境の駅から程遠からぬ所にクリーム色の建物をどつしりと構えているのが武蔵野赤十字病院です.その広い敷地の一隅にお年玉つき年賀はがきの寄附金によつて"小児麻痺治療センター"が産声を挙げたのは去る2月20日のことでした.その後名称を整肢愛護棟と改め4月25日より入院を開始し現在20名の子供達が希望に燃えて入院生活を送つているのです.医師・看護婦・理療師等専属の職員は25名余り,まだ始つたばかりで完全に軌道に乗つているとは申せませんが全員フアイトを持つて日一日と充実した生活になつて来ております.
起床6時半,洗面を済ませた子供達はテラスに出て朝の体操です.レコードの音楽に合わせてどの子も元気一杯——歩けない子供もベツドの上で一生懸命に手を動かしています.朝食が済み,しばらくすがすがしい朝の空気を吸つたり日光浴をしたりしている内に9時からのマツサージの時間になります.
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