病院管理フォーラム リスクマネジメントの実践・2
武蔵野赤十字病院におけるメディカルリスクマネジメント(2)
三宅 祥三
1
1武蔵野赤十字病院
pp.860-861
発行日 1999年9月1日
Published Date 1999/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902804
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(8月号より続く)
リスクマネジメント体制をどのように構築するか(承前)
インシデントレポートは原則として自主的に提出してもらうことにしているが,各科の部長をリスクマネージャと位置づけて,問題のある医療行為については部長が医局員にレポートを書くように促して欲しいと依頼した.しかし,最初の3か月はほとんど提出がなかった.そこで,筆者が部長会で「インシデントレポートの提出がなくて,患者からクレームがきた場合には,担当部長の管理責任を問います.ですから,各科の部長は医局員の医療行為を十分に把握して,問題がある場合はレポートを書かせるように指導して欲しい」と依頼した.また,個人を責めないことも強調した.さらに,いろいろなルートから筆者に情報が入ると,筆者が直接担当医に連絡し,インシデントレポートを提出するように依頼した.そのような状況のなかで,少しずつレポートが提出されるようになっていった.とりわけ,一つの科のリスクマネージメント委員会のメンバーが熱心にレポートの提出を促してくれた.これが呼び水のような働きをしたのか,次第にレポートの提出量が増えてきた.これは医師たちの医療事故防止に対する意識が少しずつ高まってきた証拠であろうが,レポートを書くことの意義を理解してくれてきている証でもあり,レポートを書く心理的負担が少しずつ軽くなってきたのではないかとも思い,スタッフ各位に感謝しているところである.
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