原著
卵巣出血に就て
馬淵 學
1
1三重縣農協文厚連紀勢病院産婦人科
pp.482-483
発行日 1950年12月10日
Published Date 1950/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200417
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緒言
卵巣出血は比較的稀有であつて出血量も自覺症状を發現するものに於ても比較的少量の數10c.c.より一立以上に及ぶものまで種々存在し,内莢膜血管より出血するも其の原因はホルモン作用に起因する卵胞周圍血管の抵抗滅弱の素地の下に何等かの誘因即過動性交等加わり惹起するのであろうと言うも今日未だ不明の域を脱しない。
出血部により卵胞出血と黄體出血とに分つも,前者よりも後者の方が多い様である。卵巣出血による大量の腹腔内出血は其の症状より,他科に於ては子宮外妊娠中絶と同様急性虫垂炎と診斷される事多く,産婦人科に於ては眞に性的關係を否定し得ぬ限り子宮外妊娠中絶に於ても月經又は月經樣出血を缺く事なき場合多き故子宮外妊娠中絶と誤診される事が多いのは當然である。
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