講座
栃木式リンゴ箱応用簡易保育器について
友枝 宗正
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1国立栃木病院特殊小児診療センター
pp.39-40
発行日 1959年7月1日
Published Date 1959/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201716
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私たちはエアコンデイシヨニングを備えた約10坪の中央特別保育室を作つて院内出生の未熟児を収容すると共に,院外出生の未熟児にはポータブル保育器を差向けて収容するようにしておりますが,病院保育は費用の点で家庭に負担がかかりますし遠隔の農家のものは未だ未熟児保育に対する理解が少ないため入院されない事情もありますので仲々むつかしい点があります.ここに於いて厚生省は本年度各保健所に貸出用簡易保育器を2台ずつ備えて家庭保育に対し便宜を計るようになつた訳でありますが,本年は県の予算の関係から1台しか備えられませんし,ひとたび貸出しますと少なくとも1ヵ月間位は使用しますので他のものは暫らく使えません.また保健所に備える台数もどの位がよいかについてはこれからの研究にまつものがあります.
この間にあつて私たちは栃木県の冬季における摂氏零下5〜10度にも下る山沿い特有の気候において特に農家の家屋構造が保温には非常に不適当なものが多いので生後2〜3日間迄の最も大事な時期に速かに使用することが出来,しかも製作費は低れん,自転車でも持ち運び可能,更に操作簡単なるものとしてリンゴ箱を2個組合せ,40ワツトの電球6個を備えた貸出用簡易保育器を新たに考案しました.これは主として農村未熟児保育のため当センターの重要な仕事として助産婦会を通して普及に努めております.
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