連載 おニューな地球人・5
保育器の中の楽園
きくち さかえ
pp.624
発行日 1992年8月25日
Published Date 1992/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900621
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生まれたばかりの人間はいったい何を感じているのだろう。地球の温度,母のぬくもり,口にふくむ乳首のフニャッとした柔らかさ,おっぱいの甘い匂い,のどをゴクンと通る母乳の感覚,そして排泄されるオシッコとウンチ。どれもこれも赤ちゃんにとっては至福に満ちている。
小さく生まれた赤ちゃんは,保育器という透明なプラスティックの箱の中にひっそりと置かれる。保育器は未熟児にとって,第二の子宮だ。母のぬくもりはないけれど,そこは温かく満たされていてちょっとした小宇宙である。
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