研究
妊産褥授乳婦の食慾不振の原因とその対策
落合 よね
pp.12-14
発行日 1959年2月1日
Published Date 1959/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201618
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妊産褥授乳期間の栄養の如何は健康なる母の体力と健全なる乳幼児の成長に最も重要にして緊密なる関係を有して居り従つて妊産婦授乳婦に取つて一番身近な指導者としての立場にある私たち助産婦は此の栄養指導に当つて更に反省を強め特に妊娠初期のつわり時期の食慾減退の為の偏食になり勝ちの栄養指導の重要性を痛感する時先輩諸先生の御叱正を願い度く未熟な発表をかえり見ず紙面を汚しました.
妊産褥婦の食慾不振は偏食の誘因となり胎児の発育其の他に大きな影響をもたらす事は誰れもが知る所でありますが,胎児の体組織の構造及び其の附属器管胎盤等の形成増殖更に子宮其の他の性殖器乳腺等の肥大増殖及び分娩産褥時の出血に依る栄養消失を補給する為,又乳汁分泌を必要とする栄養を蓄積貯蔵して置く為に特に蛋白脂肪が必要であり,特別の疾病のない限り脂肪は8カ月以降は1日平均70g内外は必要であり,又同時に蛋白質も其の効果大なる所から良質にして栄養価の高いものを摂取する事が望ましく,妊娠9カ月終りからは腎蔵の負担を考慮に入れ獣肉に代うるに魚肉,豆腐,バター,チーズ等を用うる様に心がけ常人の30%増位が必要とする所でありますが,いまだ本邦人は食品性質の相違や食習慣嗜好迷信等にとらわれ,又家庭経済の面からも誠に其の摂取量は微量で各国人の最下位であるとも伝えられている.其の反面含水炭素は多量に過ぎる傾向があり,一般摂取熱量の3/4を含水炭素に仰いでいる状態であります.
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