発行日 1950年9月15日
Published Date 1950/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906700
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
吾々健康人でも日常生活上種々の原因から食慾の不振を來たすことがある。例えば(1)氣温の高い時,即ち夏の暑い時は消化力が弱つて食慾が減る。(2)疲勞状態の甚だしい時,即ち過勞のため食慾を却つて減退して來る。(3)平素定時の運動を行つていた者が運動を中止した時も食慾は低下する。その代りに運動を始めると再び元の食慾を取戻すことが出來る。そして美味しい食事を攝ることが出來る。御馳走の有るなしに拘らず働くことは食慾を高め食事を美味しくするものである。(4)精神的苦惱や不快感のある時その他良かれ惡しかれ精神的衝動や過度の緊張状態にある時も食慾が低下する。悲しいこと,恨めしいこと,憎惡感や激怒感,嬉しいことなどの感情によつて劇しいショックを精神的に受けた時には御馳走があつても喰べられるものではない。
(5)食事が嗜好を無視したものである時,之は常識的相對的の問題であるが,本人の嫌いな食物を食膳に並べたり,不快な色,臭や味のあるものや,不潔なものの附着していた時などは誰でも食欲の低下を來すものである。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.