研究
助産婦はこのままでよいか
武田 一子
pp.49
発行日 1958年1月1日
Published Date 1958/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201406
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助産婦雑誌11月号で新卒の助産婦さん方の座談会の記事を読んで非常に心の晴れるのを思いました.と云うのは私は先日県の受胎調節指導員認定講習会に出席して多くの先輩助産婦さん方に接して或る事から非常なシヨツク(と云うのはあまりにも大げさかも知れませんが)を受けていたからです.その或る事とは講習の2日目萩野式の説明の折に問題が提出されました.或る婦人の月経歴が示され,それから推定して受胎調節法を説くと云う極く簡単なものでした.が驚いた事に1時間を経過しても殆んどの人が全然出来ないのです.講習を受けなくとも助産婦であれば荻野式など熟知していていいはずです.講師の先生が見兼ねて解答の一歩手前迄手に取る様に説明されましたがそれでも大半の人は出来ない有様でした.此の一事で全てと解釈するのは間違いかも知れませんが,大方の助産婦さんの知識程度を知らされた思いでした.更に私と席を近くにした一助産婦さんの言葉"此の頃ほとんどお産などありませんね.お産もないのに会に出ることばかりでこんなもの覚えても仕方ありませんね"此の言葉も多分多くの人のを代弁していると考えてよいでしよう.
私も助産婦学校を卒業して3年,開業している母を手伝い乍ら家庭分娩にたづさわつて来ました.その間に痛切に感じた事は助産婦は此のままではいけないと云う事でした.確に助産の多くは知識なくても経験だけで大過なく成せるものかも知れません.
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