原著
耐糖能異常妊娠のスクリーニングにおける随時血糖値測定の有用性
栗下 昌弘
1
,
館山 祐子
1
,
板坂 俊典
1
,
林 明澄
1
,
細野 幸多
1
,
伊藤 博之
1
,
神津 弘
1
1聖路加国際病院産婦人科
pp.337-341
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902883
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妊娠糖尿病(GDM)のスクリーニングにおける妊娠初期の随時血糖値測定の有用性を retrospec—tiveに検討した.1993年5月より1994年7月まで当科で出産した妊婦のうち妊娠初期に随時血糖値を測定した905例を対象とした.GDMのスクリーニングは糖尿病のrisk factorのある妊婦は妊娠前期に75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を,その他の妊婦は中期のglucose challenge testにより行った.耐糖能異常妊娠は,妊娠前期に8例,中期に20例検出された.妊娠初期の随時血糖値100mg/dl以上は97例(10.8%)あったが,耐糖能異常妊娠に占めるものは前期の8例中3例(2例はrisk factors陽性.1例は陰性であったが随時血糖値高値のためOGTT施行),中期の20例中3例のみであった.妊娠前期における耐糖能異常妊娠の診断には,随時血糖値100mg/dlをcut-off値とするスクリーニング法のみでは見逃される症例も多いため,糖尿病のrisk factorによるスクリーニングを主に,随時血糖値を考慮にいれた方法が勧められる.
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