講座
結核と妊娠
名和 寛二
1
1村山療養所
pp.47-51
発行日 1957年3月1日
Published Date 1957/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201233
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まえがき
一概に「結核と妊娠」と云つても,その取り扱いに就ては一例一例,慎重に考えなければなりません.御存知の様に,結核は他の伝染病と違つて感染したからと云つて直ちに発病するものではありません.感染と発病とが,密接に関聯している急性伝染病と違つて,結核の場合は感染しているにも拘らず,知らぬ間に癒つて了う人もあります.又,一年位経つてから発病する人もあります.而も発病してから長い経過をとります.病巣が肺の片側だけの場合もあり,両側の場合もあります.又,肺の上の方にある場合もあり,下の方にある場合もあります.其の上,その場合,場合に依つて治療方法も違います.従つて十把一からげに「結核と妊娠」を論ずるとすれば,それは烏と鵜との区別をしないで黒い鳥を論ずるようなものです.つまり「どのような結核」とはつきり云わなければ一歩も話が進みません.そこで「結核と妊娠」を考える為にはどうしても結核そのものを知つて頂かねばなりません.
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