講座
ホルモンの話(5)—卵胞ホルモン(エストロゲン)
森山 豊
1
1横浜市立大学
pp.54-59
発行日 1956年11月1日
Published Date 1956/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201159
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.エストロゲンの産生場所
卵胞ホルモンとは卵胞から産生されるホルモンという意味である.これは,卵胞ホルモンは卵胞からのみ分泌されると考えられていたので,このように名付けられた.しかし,ホルモン研究の進歩につれて,この卵胞ホルモンは卵胞特有のものでなく,黄体,胎盤絨毛,睾丸,副腎皮質内にもあり,また植物,鉱物にも存在することが判明した.つまり卵胞ホルモンは卵胞だけから分泌されるものではないことが明らかとなつたので卵胞ホルモンという名称が不適当となつた.そこで卵胞ホルモンといわずに近頃はエストロゲン(Estrogen)といわれることが多い.このエストロゲンとは,発情作用のある発情物質という意味である。
しかし非妊婦における主なる産生箇所は卵巣で,ここの顆粒膜と内夾膜とから産生される.また妊娠中は胎盤から大量に産生され,分娩で胎盤が娩出されると急に減少する.
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.