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体位による分娩促進研究例
山中 小梅
pp.50-51
発行日 1956年9月1日
Published Date 1956/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201124
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- 文献概要
正常分娩は,皆様も御承知の通り,胎児の正常であつて,胎位及び,胎勢に異常なく,児体,特に頭部の大きさの正常であること.硬部,軟部,産道に,異常のないこと.娩出力に,異常のないこと,でありますが,良い条件が揃つておつても,突発的に異常の起らないとも限りません.
殊に都会と違い,交通不便な,片田舎の農村にあつては,出来るだけ経済面もありますので,危険性のともなわない限り許す範囲内に於てあらゆる手段を講じ,遂娩さすのも私達の責務であるかとも存じます.なほ,本症例は産婦の健康状態,胎児,其の他,一般的観察により危険性のない時にのみ応用し,其の時期は経産と初産とにより又は時と場合により違いますが凡そ分娩期に入り正規の陣痛があるにもかかわらず遅々として分娩が進行しない時に,消毒のもとに内診してみて子宮口開大や卵胞.胎児の下降部位産道を触知して後にやつてみますが一番大切な事は産婦が疲労していはしないか,睡眠はどおであつたか,排尿排便,飲食物,室内空気などに,気をつけて対策し,忍耐力と精神的慰撫につとめお産は病気でない生理的現象で自然のいとなみである,陣痛は,初産婦には相当痛いが,之れを痛いと考えず子宮が子供をしぼり出すために收縮すると考えよ,そして,這入つたものは必ず自己の力で生み出すと,頑張れと自己の信念をはつきり理解さして取扱いますことが肝要であります.
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