臨床メモ
分娩時体位の胎児への影響
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.132
発行日 1975年2月10日
Published Date 1975/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205139
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仰臥位低血圧症候群が妊娠子宮の大静脈の圧迫によつて起こり,ことに帝切時にこれが顕著に現われること,さらにこの状態が子宮胎盤循環にも悪影響をおよぼし得ることは現在広く知られている事実である。しからば普通の経腟分娩の時にはどのようなものであろうか?
すでにKerr,M.G.は仰臥位妊婦の血行動態を観察して,児頭の嵌入前では仰臥位によつて母体心拍出量が著しく減少するが,嵌入後には変化が少ないと報告している。今回,オーストラリア,メルボルンのHumrphrey, M.ら(J. Obstet,Gynaec. Brit. Cwlth.80, 1075,1973)は,経腟分娩の際の体位を仰臥位とした場合と,仰臥位低血圧症候群の治療に有効な15度左傾背位とした場合の児の状態を比較検討した。分娩第2期の初めに児頭血を採取し,pHが7.20以上の40例について,仰臥位群と15度左傾群にわけ,分娩直後に臍帯血のガス分析を行つた。その結果,アプガー指数では仰臥位群の2例に6と3があつた以外はすべて7以上であり,統計学的には有意でないが,15度左傾群に指数が高く安定した傾向がみられた。臍帯血のガス分析結果は両群に差がないが,これも15度左傾群の臍帯動静脈血pH,動脈血PCO2,動脈血酸素飽和能のバラツキが少なかつた。
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