今月の言葉
受胎調節の実地指導者は協力して進め
S・K
pp.13
発行日 1955年9月1日
Published Date 1955/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200910
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受胎調節の実地指導ほどむつかしい仕事は,ちよつと他に類がないかもしれない.もちろん,ただ簡単に受胎調節の必要を説明するとか,その方法や原理を教える程度のことならば,さほどのことではない.しかし実地に本当に具体的な指導を行い,それぞれの夫婦各友の家庭に最も適切な,安全な方法を選びだし,いろいろに変化する諸条件に対して,いつも巧みに適応して避妊の効果をあげうるように行き届いた手ほどきをすることは,そう簡易に,誰にでも出来るわざではないと思う.それに,受胎調節に成功するためには不断の注意が必要なわけで,したがつて指導に当つてもこれを永続して行わせるための努力も大切なわけである.これが又並々ならぬ心使いと根気を以て上手に指導をしなければならない.
要するに,学問や理論ばかりてなく,世態人情の表裏,機微についても豊かな知識・経験を要し,なおその上に同情・親切・機智・説得力・根気・誠実など,ありとあらゆる指導者的性格要素が必要である.
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