口絵
新生兒假死蘇生器について
久保 博
1
1国立東京第二病院産婦人科
pp.2-8
発行日 1954年3月1日
Published Date 1954/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200555
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私達分娩にたずさわる者は,ときおり新生兒の假死に遭遇し,心配する場合が少くありません.假死の原因も種々ありまして,例えば,(1)新生兒血液中の酸素の缺乏.(2)腦隨の圧迫による腦中樞の障碍される場合(例えば頭蓋内血腫)(3)麻醉剤による場合,等が考えられ,その処置も原因により全く同一ではありませんが,いずれの場合におきましても,高度の假死の場合は,人工的に空気又は酸素を,肺胞内に送入する方法を講ぜねばなりません.從来おこなわれておつた,シユルツエ氏振搖法,緒方氏発啼法は危険でありますし,胸廓圧迫法,屈伸法,ジルベステル氏法,プロヒヨウニツク氏法等は高度假死の場合は充分な効果を期待し得ぬことが少くありません.かかる場合積極的に空気又は酸素を直接送入する方法が望ましいのであつて,從来もかかる着想の裝置もあるのですが,あまり汎用されておらぬようです.私の所では独逸ドレーゲル新生兒蘇生器を使用し好成績を挙げておりますので御報告申し上げます.まずこの蘇生器の利点とする所は,(1)從来の蘇生法は多少とも兒の身体を動かすため,頭蓋内出血,骨折等の場合には,不合理,不利な点がありますが,本法によれば,兒を全く動かさずに施行できます.(2)從来の方法は熟練者と未熟練者とにより効果にもひらきがありますが,本法は裝置につき一応の知識を得ていれば誰でも簡単にかつ優劣なしにおこなうことができます.
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