貴女の経済学
簿記(2)
渡邊 五郞
pp.46-48
発行日 1953年5月1日
Published Date 1953/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200354
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さて,簿記では,金銭や物,或は債権とか,債務とか,色々の財産の増減変化を,各項目に別けて,記録計算するが,その記録計算するところを「勘定」という。この勘定は,次の図解のように左と右とに劃然と区分され財産の増減変化の仕具合によつて,その金額を,或はその左側に,或はその右側に記録して計算する仕組になつている。
例を現金勘定にとつて説明すると,帳簿の適当な一頁を開いて,その見出に「現金」と書いて現金勘定を起す。そして左の方の欄には,入つて来た金額を順順に記入し,右の方の欄には,出て行つた金額を順々に記入して行けば,左側の合計は收入額を,右側の合計は,総支出額を,そしてその左右の合計額の差は,現在手許に残つている金額を示すのである。この記帳法則は,簿記の基本をなすものであつて勘定の左側を「借方」,右側を「貸方」と称び慣わしている。商品などの記帳整理も現金の場合と同様,帳簿の適当な頁を開いて見出に「商品」と書いて商品勘定を起し商品を,受取つたときには,その勘定の借方(左)にその金額を記入し,他人に引渡したときにはその金額を貸方(右)に記入する。例えば,(1)現金10万円で商売を初めた。(2)商品Aを,5千個5万円で仕入れ,代金を支払つた。(3)商品Aを3千個3万円に売つて,代金を受取つた。(4)商品Bを2千個1万円で仕入れ代金を支払つた。(5)商品Bを15百個7千5百円に売つて代金を受取つた。
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