貴女の経済学
簿記のつけ方(4)
渡邊 五郞
pp.61-64
発行日 1953年7月1日
Published Date 1953/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200398
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私ども人間は,遠い昔から續いてて来,また果しない未来へと續いてゆく時の流れを,適當に区切つて,その区間々々において,各々その生活や活動を規律している.すなわち永劫の時の流れを,1年1年に区切り,その年の終りには,その過去1年間に起つた事共に結末をつけたりいろいろ反省したりして,「来るべき年こそは,よりよい年たらしめよう…」と張きつて新年を迎える.こうした人としての生き方はとうぜん会計の中にも取入れられてある.これが決算である.決算とは,1年とか6カ月毎に帖簿を締きりあらためて,企業財産の現況を,はつきり認識するとともに,それはどういう経営活動の結果であるかを反省する計算上の手續きである.しかして企業,財産の現況を表示する表を貸借対照表といゝ,所定期間内の経営活動を総括約に表示するものを損益計算書という.詳言すると貸借対照表は,現金・預金・賣掛金・貸付金あるいは商品とか士地,建物などのように資産に属する勘定の現在高(元帖の残高)を借方に,買掛金・借入金等のような,負債に属する勘定の現在高(元帖の残高)と資本金や當期の利益を貸方にならべて作られた一覧表である。また損益計算書は費用に属するいろいろの項月の支出額を借方に,それによつてもたらされた收益額を貸方にならべて作られた一覧表である.
以上要するに,私どもはすべての取引を仕譯帖に仕譯記入し,それをいちいち元帖の然るべき勘定に転記する.
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