講座
受胎調節問題のその後
齋藤 鐐一
pp.6-9
発行日 1952年11月1日
Published Date 1952/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200208
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受胎調節を普及することが,政府によつて採りあげられようとしてから,早や一カ年近くになろうとしています。本年3月号の本誌上で,受胎調節普及を決定するに至るまでの大略と受胎調節普及実施要領案について簡單に申上げましたが,その後,受胎調節普及実施要領(以下実施要領とします)及びその細目の作成と平行し,優生保護法を改正することが進められまして,4月19日にはその法案が国会を通過し,5月17日公布,5月27日より施行されました。この法の改正によつて,第15条に受胎調節の実地指導を業務とする者の範囲が定められ,実施要領の作業も一段と促進されました。6月18日には第3回目の受胎調節に関する懇談会が開かれ漸くにして実施要領が最終的に決定されましたので,その細目も引続き決定したのでした。昨年秋,受胎調節普及を決定した時は,優生保護法の改正によらないで,行政上の指導としてやつて行く考えでありましたが,谷口先生が優生保護法を改正して,受胎調節の実地指導をする業務を法に決定しようと企図されました。そうなりますと,法律ではつきり規定されるまでは,個別指導するものを実施要領の中で決めるわけには参らなくなり,法が改正されるまで実施要領を決定することを,延ばさなければならなくなつたのです。
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