医学の話題
追跡子の話
石垣 純二
pp.48
発行日 1952年8月1日
Published Date 1952/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200165
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原子炉は原子爆彈ばかりをつくるのではなく,人間の幸福に役立つ仕事もしています。それが放射性同位元素の製造です。追跡子は放射性同位元素の応用の一つです。
いま私たちがカルシュウムを食べたり注射をうけたとします。そのカルシュウムが体の中で,どのような形にかわり,どのような臟器に運ばれて行き,どのようにして,その一部は体の外へ出されるかということは,ちよつと見当がつかないのです。というのは体内いたるところにもともとカルシュウムが存在していますから,新来と古顔とが区別つかないからです。そこで後から入れるカルシュウムに印をつけておくわけに行かないだろうか,ちようど渡り鳥や回游性の魚に標識をつけて離し,こんどつかまつた土地から,回游径路を推定するのと同じ風に。
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