経営と管理
福島助産院の沿革及び經營について
渡邊 とら
1
1日本看護協会福島県支部助産婦部
pp.53-56
発行日 1952年8月1日
Published Date 1952/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200167
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福島助産婦看護婦学校附属産院として発足いたしましてからここに有余年,始めは殆んど施料患者のみでございました。目的としては助産婦生徒の実習施設に当てられたもので,当時は殆んど入院する妊婦さんはなく,時の助産婦看護婦学校長照内淳良先生(故照内未発見者の御令弟)は非常に心配されましてこれでは生徒の実習に困るというころから御自分の家に入院すべき産婦をわざわざ産院に連れて来られたこともございました。助産婦の養成には殊に御熱心で鳥の鳴かない日があつても照内校長の学校に見えない日はないと迄いわれたほどで,雨の日も風の日も,殊に夏の暑い日等はハゲ頭から流れる汗をハンカチではとても間にあわないので,タホルで拭きながら生徒に教授される等御自分の病院にいらつしやる時間よりも学校と産院にいらつしやる時間の方が長い位で産院のためにも又学校のためにも実によい協力者でございました。今日この学校も産院も盛んになつて生徒も戰爭前は遠くはハワイ,北海道,現在もこの近県から優秀なのが来て居ります,助産院と先ず産婆学校の産院といえばおそらく福島県では知らない人はない位いでございます。こうして基礎をつくつて下すつた先生が逝いてここに16年せめて今頃迄でも御丈夫でいらつして下さつたならばこの盛んになつた助産院を御覽になつてどんなにか御喜びになられたことかといつも話し合つて居ります。
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