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乳幼兒の情操教育と子守唄
井野邊 ケイ
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1大阪府助産婦會
pp.50-51
発行日 1952年5月1日
Published Date 1952/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200108
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總ての助産婦は,母子の生命を預るものであります。從つて,妊産婦の保健指導や,乳幼兒の保育指導には,身につけた專門的な智識を以て補導せねばならぬ重大な責務があるのでありますが,たゞこれのみを以て凡ての責任が果たせたというのではないのであります。お母さんが赤ちやんの教育を願つて,絶えす榮養を與えますがそれと同時に,その心にも十分の糧を與え,心身共にそろつて發育せしめる最も善き指導者とならねば優れた助産婦ということは出來ないと思うのであります。元來日本の教育の一般目標が學校教育に重點をおかれて居るのでありますが,私はこれより一歩前進して,赤ん坊が生れ出てから幼稚園に行く迄の教育が,人生の出發點として,洵に大切なことゝ信ずるのであります。
その教育の衝に當るものは,母と助産婦が最も理想的であると思うのであります。そこで今日の助産婦は,教育教養の度を高めて行かなければならないことは申すまでもないことでありますが,その最も一般的であつて,而もたやすく實行の出來るのが,母親の愛の子守唄であろうと思うのであります。私が多年子守唄の愛唱を強調する所以はこゝにあるのであります。
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