講座
レントゲン寫眞に依る骨盤計測法について
橋爪 一男
1
1日本大學
pp.25-28
発行日 1952年5月1日
Published Date 1952/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200102
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分娩の難易は産道と兒頭との相互關係に依つて決定せられるものである事は言う迄もないが,兒頭は或る程度の症形機能を營み産道通過に對し妥協的態度を示し,又一方,通過困難が豫想される場合には,早期に分娩を開始せしめ,分娩困難から兔れしめる力法もないではない。然るに,産道特に,骨産道は持つて生れたもので,人力を以てしては如何ともこれを矯正し難い。故に果して骨産道が狹いかどうかと言う問題は實に分娩の難易に決定的な斷を與える鍵で,骨盤計測の重要性も實に此處にあると言う事が出來よう。
骨盤計測には從來吾々はその外計測値を重要視して來た。夫は今日に於ても確かに重要である。併し外計測値は特に内計測値に平行しない場合もある。相當狹い外計測値を持つている婦人から大きな胎兒が生れたと言う報告を耳にすることはさして珍らしい事ではない。ある婦人科の大家の如きは外計測値は問題とするに足りないとまで極言して居られる位である。然らば内計測値を正確に測定する方法はないものであろうか。内計測値の中で最も重要な眞結合線に就ても,外結合線はもとより,對角結合線も餘り信を置き難い。ガウス骨盤計も實際使用法が仲々困難で實用には適し難い。結局それでは胎兒通過に最も關係の深い骨盤の内計測値の實値は測定出來ぬものであろうか。それは少々設備と費用とを要するが,レントゲン線寫眞に依る測定が最も信頼するに足りると言う結論になるのである。
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