グラフ
醫學とステレオ寫眞
橋爪 一男
1
1日本大學
pp.65-66
発行日 1953年2月10日
Published Date 1953/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200781
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ステレオ寫真は立體寫真又は1名双眼寫真とも言い,兩眼の距離即ち約65ミリ離れて水平に置かれた2個の同焦點レンズを有するカメラに依り撮影せられた寫真である。從つて寫真は2枚うつる。そしてそれは多少ちがつた所がある。決して同一ではない。それは被寫體に對するレンズの位置が65ミリ丈ちがつているからである。此の方法に依つて得た寫真を印書紙又は陽畫乾板に焼付け左右入れ替え立體鏡に依り觀察する時は,人間が左右の眼で景色を眺め頭の中で之を立體と認識するのと同様,相手は實物でなく寫真であるが,其所に明かな立體を認識する事が出來るのである。之は寫真の趣味としては高級に屬するもので一度その實際に手をつけた方は,到底忘れられぬ深い感興に捉えられる。即ちマニヤになつてしまうのである。此の立體寫眞は古くよりフランスに於て發達したもので,現在までに最も多くの又ぜいたくなステレオカメラを市場に送つたのもフランスである。最近は天然色フィルムの發達に依り,ステレオ寫眞にも之が應用せられるに到つた。之は又實に素晴しいもので眞に自然の再現に於て間然する所が無い。唯足りないのは音丈である。
此の様なステレオ寫眞は醫學の領域に於ても圖り知れない偉力を發揮する。唯現在までに餘り多く利用せられていない丈である。例えば第1圖は平な煎餅のような組織の上に團子の様な塊がのつかつている子宮粘膜下筋腫のステレオ寫眞である。
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