グラフ
道具の要らない顯微鏡寫眞の撮影法
橋爪 一男
1
1日本大学
pp.3-4
発行日 1953年1月10日
Published Date 1953/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200767
- 有料閲覧
- 文献概要
顕微鏡写真と言えば,非常に六かしい事の樣に思われる方が多いと思われるが,実は全く反対で,こんなに容易しいものは無いのである。何故なら顕微鏡写真と言うのは実は幻燈なのである。映写幕か壁にうつつた幻燈の絵の所に,写真乾板を置けばそれでよいのである。しかし詳しく言うなら,暗室で顕微鏡を横にしてそのコンデンサー(集光レンズ)を通して強い光線を送つた時,接眼レンズから白壁に投射された幻燈像を,写真乾板で受けとめれば良いのである。之でお判りの樣に顕微鏡は幻燈器の役目を果すのである。顕微鏡写真と言つても写真レンズは一切不要,あれば却つて邪魔になる。又写真器もあつてもよし,無くてもよい。それなら市中に顕微鏡写真とか顕微鏡用附属品とか言うものを売つているのは,どうゆう訳かと言うと,それに明るい部屋で,短時間に沢山の写真をとろうと言う時必要になつて来るので,たまに論文の附図に,一枚の写真をとろうと言う樣な場合は,そうゆう高価なものを一々買つてはやりきれない。又上等な器械程操作が複雑で専門的知識が要る。充分に使いこなして居られる方は甚だ稀で,猫に小判の感を深くする事が多い。
写真レンズが要らない訳は,顕微鏡の対物,接眼両レンズが写真レンズの代りを勤めてくれるからである。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.