Japanese
English
外科の焦点
外傷とシヨツク—新しい一,二の問題を中心に
Surgical Trauma and Shock from a Point of New Concepts
林田 健男
1
,
森岡 幹登
1
,
鈴木 守
1
1東大分院外科
pp.849-855
発行日 1963年7月20日
Published Date 1963/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203112
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私共が日常しばしば遭遇し治療にたずさわる外傷性ショックの大部分は,二次性ショックである.それを契機づける最も主要な因子は,循環血液成分の喪失である故に,治療対策の中心が補液療法におかれるのは当然である."Replace whatis lost"が従来より強調されている補液療法の原則であり,現在でもこれを否定することはできない.しかし,周知のごとく,近年のショック病態生理の厖大な研究は,その原則だけでは全く解決不能な困難な治療上の問題をいくつも示している.外傷からショックヘの進展機序にあずかる諸因子は,現今容認されているものだけでも,第1表に示されるように多数存在し,実際のショックの臨床像は,これら諸因子と生体臓器との間の複雑に錯綜した代償性反応ないし過代償性反応の綜合表現とみることができる.これら諸因子とそれが反応相に介入して随時派生する悪循環の数々は,その中のどの一つが発展しても容易に生命の破綻を招き得るものであり,理想的なショック療法は,これらを全て考慮した上に樹てられるものでなくてはならない.その中でも、今回は特にショックに伴う末梢循環障害の問題をとり上げて,その病態生理と治療に関する最近の知見の一部を紹介することとする.
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