巻頭言
卒寿の父に思う
吉橋 学
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター小児科
pp.557
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203126
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少し身内の自慢話をさせていただくことをお許し願いたい.私の父は今年卒寿を迎える.幼少期の記憶では電車に揺られて都内の会社に通い,平日は飲酒,週末はゴルフに出かけるどこにでもいる昭和のお父さんだった.そして50歳台はじめころに突如として走り始めた.あの頃は健康に気遣い始めたのかな,としか思っていなかった.しかし私が実家を離れ寄り道しながら医師として仕事を始め,まあ紆余曲折を経ながら医師人生を歩んだ30年以上もの間,ずっと変わらずに走り続けているのである.コロナ禍の頃からフルではなくハーフマラソンにしているらしいが.近所では天然記念物のような存在である.とにかく元気である.私の子どもと遊びに行くと,自転車で走る孫を後ろから前から撮影するために周囲を走り回っている.そしてよく食べよく飲む.正月には二人で一升瓶を空ける.人が大好きで,誰でも捕まえて話しかける.好奇心旺盛であり本を乱読している.とにかくどこにでも首を突っ込み,知りたがる,やりたがる.90歳近い老人が走って飲んで話しているのを見ていると,なんだか元気になる.
せっかくこんな奇特な家族を持っているのだから,息子の自分がなんだか元気になるだけでなく,自分の仕事にどうにか活かせないものだろうか.
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