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はじめに
日本は世界でもトップクラスの長寿国となっており,それに伴い相対的に糖尿病や高血圧などの基礎疾患を持ちながら生活する人も増えている.「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」1)を健康寿命というが,人生における生活の質(quality of life:QOL)を守るためには,自分の足で歩くことが大切で,それがひいては健康寿命を延ばすことにつながると考える.
予防的なフットケアの意義は「歩ける足を守る」ことである.高齢者は身体機能や認知機能の低下から,セルフケア困難な状況となる人も多い.筆者は,皮膚・排泄ケア特定/認定看護師としてフットケアを中心に病院や施設で活動する中で,高齢化に伴うさまざまな問題に直面している.特に過疎化の進んだ地域では,医療機関までの交通手段が少ないことや,通院の介助者がいない,医療提供場所が廃業するなどの理由により,疾患の管理がなされないことが問題となっている.その中で足の治療やケアを必要とする人が医療から切り離されないようにつなぐ役割を担うべきは,その地域で働く医療従事者である.
基礎疾患の中でも,糖尿病は重症化することで神経障害や血流障害を来し,下肢切断に至るリスクがある.下肢切断は歩行機能に大きく影響し,日常生活動作(activities of daily living:ADL)の低下を来すばかりではなく生命予後にもかかわる重大な問題である.医療フットケアの持つ大きな役割は生命を守ることであり,足病変を持つ人に対して予防的フットケアを行い,足病変の早期発見とケアを行い支援することである.本稿では,看護師の行う予防的なフットケアを中心に,誰もが気を付けるフットケアについてまとめる.
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