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特集 糖尿病足—予防とリハビリテーションの最新アプローチ
糖尿病から切断に至るハイリスクのメカニズム
Mechanisms leading from diabetes to amputation.
富田 益臣
1
Masuomi Tomita
1
1下北沢病院糖尿病センター/足病センター
1Diabetes Center/Podiatric Center, Shimokitazawa Hospital
キーワード:
糖尿病足病変
,
糖尿病性神経障害
,
末梢動脈疾患
Keyword:
糖尿病足病変
,
糖尿病性神経障害
,
末梢動脈疾患
pp.223-230
発行日 2024年3月10日
Published Date 2024/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203060
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はじめに
糖尿病足病変は,国際的には「神経障害や末梢動脈疾患と関連して糖尿病患者の下肢に生じる感染,潰瘍,足組織の破壊性病変」と定義され1),重症化して下肢切断に至る合併症として非常にリスクが高い.糖尿病の合併症は全身に及ぶが,特に足にはさまざまな影響が及ぶ.足は皮膚,爪,筋肉,腱,動静脈,神経から骨まで含む大きな臓器であり,体重を支えて安定した姿勢で歩いたり走ったりする基盤であり,重力と摩擦によるずり力の負荷や,靴との摩擦など,常に過酷な環境にさらされている.そのため,神経障害,血流障害,易感染性などを有する糖尿病患者は足病変を発症しやすい.糖尿病末梢神経障害では,感覚障害,ハンマートゥ,クロウトゥ,外反母趾などの足変形を来し,自律神経障害は皮膚の乾燥や亀裂を生じる.また糖尿病は動脈硬化を生じやすく,下肢の虚血が進行すると足壊疽となり下肢切断の誘因となる.
その他の悪化要因には,視力障害(白内障,糖尿病網膜症など),高齢や独居による無頓着,身の回りの整理整頓や清潔が保てなくなることがある.視力が低下すると,爪切りも危うくなり,さらに足趾の傷も眼で確認できなくなる.足病変が顕在化する前に,足病変の基礎病態を把握し,リスクを評価する必要がある.本稿では,糖尿病から足切断に至るメカニズムとして,神経障害,虚血,感染症の視点より解説する.
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