変形性膝関節症患者における臨床最小効果量を満たす筋力測定値の基準値

The cut-off values for muscle strength measurements that exceed the minimum clinically important difference in knee osteoarthritis

要旨　［背景］筋力測定値の継時変化に対する基準値は明らかでない．本研究では臨床最小効果量（minimum clinically important difference：MCID）に着目し，3か月の継時変化に対する基準値を検討した．［対象］変形性膝関節症患者のうち，初回・1か月・3か月時に理学療法評価を実施できた134名を対象とした．［方法］筋力測定値，問診結果をカルテより調査した．筋力測定値は徒手筋力測定器および体重計を用い，伸展・屈曲筋力体重比を算出した．問診はWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Indexを活用し，疼痛，身体機能それぞれのMCID到達可否を明らかにした．筋力測定値とその改善率を独立変数とした多重ロジスティック回帰分析を実施後，receiver operatorating characteristic curveより基準値を算出した．［結果］身体機能のMCIDを満たす基準値は，徒手筋力測定器での屈曲筋力体重比1か月改善率7.94％，3か月改善率19.41％，3か月時体重計での伸展筋力体重比0.21kg/kgであった．疼痛のMCIDを満たす基準値は算出されなかった．［結語］算出基準値は保存療法の効果検証への活用が期待される．