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特集 障害児の成人移行支援の課題とトランジション
ダウン症児の成人移行支援
Support for the transition of children with Down syndrome to adulthood
外木 秀文
1
,
佐々木 理
2
Hidefumi Tonoki
1
,
Osamu Sasaki
2
1天使病院臨床遺伝センター
2天使病院天使こどもメディカルセンター
1Medical Genetics Center, Tenshi Hospital
2Tenshi Children's Medical Center, Tenshi Hospital
キーワード:
ダウン症候群
,
成人移行
,
アルツハイマー病
,
知的障害
,
ヘルスリテラシー
Keyword:
ダウン症候群
,
成人移行
,
アルツハイマー病
,
知的障害
,
ヘルスリテラシー
pp.1185-1191
発行日 2023年11月10日
Published Date 2023/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202972
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ダウン症候群の疫学と臨床像
ダウン症候群(以下,ダウン症)は1867年に英国の医師John Langdon Downにより初めて記載された知的障害を主徴とする先天性疾患で,1959年にフランスの小児科医Jérôme Lejeuneにより,トリソミー21が原因であることが報告され,ゲノムの異常が原因となることが示された最初の疾患となった.以来,代表的な知的障害を合併する先天多発異常症候群として広く知られている.発生頻度は出生1000に対しおおむね1程度である.母となる女性の加齢とともにその発生頻度が増える傾向があり,高齢出産の頻度が相対的に増加している最近のわが国では,その発生頻度は出生600に対して1と推測される.
臨床像は,① 骨格系の問題として,低身長と特異顔貌,短頭など身体の形態的特徴,② 神経系の発生・発達の障害として,筋緊張低下ならびに知的障害,発達障害,小脳機能障害,③ 高頻度に合併する多臓器系統の先天奇形あるいは機能異常:先天性心疾患,先天性消化管通過障害(十二指腸閉鎖,鎖肛,ヒルシュスプルング病など),一過性骨髄異常増殖症/白血病,難聴,屈折障害,白内障,甲状腺機能異常など,④ 早めに始まる老化現象:白内障や早発性のアルツハイマー型認知障害などに特徴づけられる.
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