連載 精神保健福祉に関する支援とサービスの活用・第2回
精神障害者保健福祉手帳による暮らしの広がり
青木 聖久
1
Kiyohisa Aoki
1
1日本福祉大学福祉経営学部医療・福祉マネジメント学科
1Faculty of Healthcare Management, Department of Social Healthcare and Business Management, Nihon Fukushi University
キーワード:
社会資源
,
日常生活能力
,
単身生活
,
常態化
,
出費の軽減
Keyword:
社会資源
,
日常生活能力
,
単身生活
,
常態化
,
出費の軽減
pp.1009-1012
発行日 2022年8月10日
Published Date 2022/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202592
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背景および概要
1995年に,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」が,従来の精神保健法(1987年)から,名称変更を伴う改正法として制定された.その際,改正における一つの目玉が,精神障害者保健福祉手帳(以下,手帳)の創設だった.とはいえ,当初,手帳の取得については,メリットが見えづらいことと,一方で,スティグマから,精神障害がある人(以下,本人)やその家族(以下,家族)は,積極的に求める雰囲気にはなかった.それから四半世紀が経過した今日,手帳取得により,使える社会資源は増えつつある.
手帳の障害程度は,1級が重度,2級が中度,3級が軽度として位置付けられている.2020年度における手帳交付者数は,1,180,269名となっており,内訳は,1級が128,216名(約11%),2級が694,351名(約59%),3級が357,702名(約30%)となっている1).このように,手帳1級所持者は全体の1割強である.そのことからも,手帳取得による本人の暮らしの広がりに鑑みれば,後述する市町村や民間事業者等の社会資源が,少なくとも,手帳1・2級所持者(合計約70%)を対象とした施策やサービスになっているかを注視する必要があろう.
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