Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「だれもが愛しいチャンピオン」—知的障害者の視座から人間と社会を批評する
二通 諭
1,2
1札幌学院大学
2札幌大谷大学
pp.533
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202509
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スペイン映画「だれもが愛しいチャンピオン」(監督/ハビエル・フェセル:2018)は,プロ・バスケットボールのコーチであるマルコと知的障害のバスケットボールチーム“アミーゴス”の面々との交流を描いたもの.原題は「Campeones」.英語表記では「Champions」.これに「だれもが愛しい」という形容詞句を付けた邦題は,本作の性格を言い当てている.このタイトルから,感動を過剰に押しつける「感動ポルノ」系の作品ではないかという先入観を抱いてしまいそうな方には,決してそうではないと,釘を刺しておきたい.
本作は,「ヴァージン・フライト」(1998年:英),「トスカーナの幸せレシピ」(2018年:伊)の系譜に位置づく.いずれの主人公も,マルコと同じように高い能力をもつ一方,警察沙汰になる問題を起こし,その後,拘禁刑に代わる社会奉仕活動を命じられ,不承不承,障害者に接することになるからだ.筆者流の分類では,<拘禁刑に代わる社会奉仕活動>系障害者映画ということになる.
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