Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「14歳の栞」—子供から大人に切り替わる<14歳後半>のリアル
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.1017
発行日 2021年10月10日
Published Date 2021/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202345
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「誰もが通ってきたのに,まだ誰も見たことのなかった,青春リアリティ映画」と謳う「14歳の栞」(監督/竹林亮)は,とある中学校の3学期,「2年6組」35人全員を被写体とするドキュメンタリー.小学校教員20年,中学校教員15年の実務経験のある筆者にとっては,不可能を可能にした奇跡の一作であり,驚愕するしかない.
生徒の顔と発言を収録・公開するにあたり,本人,家族,教職員らの許可に加え,教育委員会などにもお伺いを立てたはず.通常であれば,この段階で頓挫する.さらに,上映館では鑑賞者全員に「この映画に登場する生徒たちは,これからもそれぞれの人生を歩んでいきます.SNS等を通じての,個人に対するプライバシーの侵害や,ネガティブな感想,誹謗中傷を発言することはご遠慮ください」という文書が配布された.生徒を守る手立てとして理解できる.となれば,筆者もまた,注意を払わねばならない.個別事例にスポットを当てることを避け,全体を俯瞰したうえで,概括化に注力すべきとの判断に至る.
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