Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「子どもたちをよろしく」—貧困,いじめ,虐待,機能不全家族など子供たちを覆う困難を凝視
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.801
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202022
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NHKの「チコちゃんに叱られる!」のレギュラー出演者である某芸能人が,ラジオの深夜番組で,リスナーの「コロナで風俗に行けない」という声に対して,「コロナ明けたら美人さんがお嬢やります.なぜかといえば,短期間でお金を稼がないと苦しいですから」とやらかし,社会的な責めを受けている.件の芸能人は,「わたしは,ダニエル・ブレイク」(2017)で,貧困ゆえ体を売るシングル・マザーのケイティのエピソードから学ぶべきだ.映画は人間性を磨く自己教育のツールでもある.直近では,「子どもたちをよろしく」(監督/隅田靖)に登場するデリヘル嬢・赤沢優樹菜(鎌滝えり).大人や社会が抱える矛盾の犠牲者であり,本作のキーパーソン.鎌滝は実生活における不登校経験者ゆえ生涯学習の体現者でもある.
本作には,三つの特徴がある.
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