Japanese
English
特集 周術期のリハビリテーション診療—何を考え何を診て何をするのか
下肢人工関節手術
Lower extremity total joint arthroplasty
谷口 直史
1
Naofumi Taniguchi
1
1山梨大学医学部附属病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Yamanashi
キーワード:
人工股関節全置換術
,
人工膝関節全置換術
,
手術アプローチ
,
環境因子
,
合併症
Keyword:
人工股関節全置換術
,
人工膝関節全置換術
,
手術アプローチ
,
環境因子
,
合併症
pp.417-423
発行日 2020年5月10日
Published Date 2020/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201941
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はじめに
わが国の高齢化は急速に進行している.厚生労働省は平均寿命の延伸に伴い,平均寿命と健康寿命の差(不健康期間)の短縮を図っている.健康寿命は「日常生活に制限のない期間の平均」とされており,移動能力の維持は健康寿命延伸に寄与する.
移動能力の低下を来す下肢関節疾患にはさまざまな疾患がある.多くの下肢関節疾患は変形性股関節症や変形性膝関節症などの下肢変形性関節症に至る.下肢変形性関節症の治療には保存療法と手術療法があり,いずれもリハビリテーション治療は重要である.
手術療法には関節温存手術と人工関節置換術があり,人工股関節全置換術(total hip arthroplasty;THA)は年間6万件以上,人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty;TKA)は年間9万件以上と年々増加している.このように人工関節手術は一般的な手術であり,リハビリテーションを施す機会も多い.
周術期リハビリテーションの目的は関節機能の回復(疼痛緩和,関節可動域拡大,筋力強化)や歩行能力向上である.また,静脈血栓症(深部静脈血栓症・肺塞栓症)の発生や人工股関節脱臼の予防に果たす役割も大きく,さまざまな合併症が生じやすい周術期に安全に行う必要がある.本稿では下肢人工関節置換術における周術期のリハビリテーション診療について述べる.
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