Japanese
English
研究と報告
複雑な漢字の写字が正確であった左側頭葉後下部病変を有する失読失書の検討
A Case of Alexia with Agraphia for Kanji Whose Immediate Copying Ability for Complicated Letters of Kanji are Well Preserved
大原 一幸
1
,
首藤 美智子
2
,
釜江 雅子
2
,
杉野 栄太
1
,
湖海 正尋
1
,
守田 嘉男
1
Kazuyuki OHARA
1
,
Michiko SHUDO
2
,
Masako KAMAE
2
,
Eita SUGINO
1
,
Masahiro KOKAI
1
,
Yoshio MORITA
1
1兵庫医科大学精神神経科
2いなみの病院
1Department of Neuropsychiatry, Hyogo College of Medicine
2Inannino, Hospital
キーワード:
Kanji
,
Copying
,
Writing
,
Alexia with agraphia
,
Left posteroinferior temporal lesion
Keyword:
Kanji
,
Copying
,
Writing
,
Alexia with agraphia
,
Left posteroinferior temporal lesion
pp.1339-1344
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902547
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【抄録】 我々は左側頭葉後下部病変を有し,漢字に著明な失読失書を示した症例を経験した。左側頭葉後下部病変による失読失書では,漢字の視覚イメージの障害,あるいはその想起の障害により書字障害が起こり,写字が保たれるとされる。本例では,漢字を見た瞬間に書ける漢字と同等のスピードで,手本を見ることもなく複雑な漢字を写字できたこと,写字した漢字の意味が理解できないこと,写字した字が読めないことから,視覚イメージなしに,あるいはその想起なしに,漢字を写字したと考えられた。漢字の書字および写字に際しても,頭頂葉を経由する書字の感覚(視覚,運動覚を含む)—運動系の統一行動(運動覚性書字および書字運動パターン)が重要な働きをしているものと考えられた。
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