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はじめに
脳卒中の上肢機能障害において,機能改善が実用手に至るのは15%以下といわれており1),麻痺手の機能改善および,実用性の向上を図る治療法の開発は急務である.
本邦では上肢機能障害の治療法として,中等度の麻痺筋(手関節背屈筋,手指伸筋など)に対して電気刺激の使用が勧められている(グレードB)2).電気刺激を用いた治療のなかでも,hybrid assistive neuromuscular dynamic stimulation therapy(HANDS療法)は,その治療機序が明らかとされている治療法の1つである3).
HANDS療法とは,随意運動介助型電気刺激装置4)(以下,電気刺激装置)と手関節装具を1日8時間装着し「reach,grip and release,pinch and release」の動作を補助し,日常生活で麻痺手の使用を促すことで,上肢機能の改善および実用性を向上させる治療法である(図1).HANDS療法の脳卒中後の上肢機能障害に対する効果は,慢性期3),亜急性期5)のランダム化比較試験において確認されている.
HANDS療法の対象基準は,手指伸筋群の随意筋電が記録でき,Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)のfinger function scoreが1a(集団屈曲レベル)〜3(分離運動は可能だが拙劣),knee-mouth testが2以上(麻痺手を胸の高さまで挙げることができる)である.
従来のHANDS療法は3週間の入院による訓練が必要であったが,今回,筆者らは4週間の外来におけるHANDS療法(HANDS therapy for outpatient;HANDS-out)を行い,麻痺手の機能改善ならびに,使用頻度の向上に至った症例を経験したため報告する.
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