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要旨 【目的】10種類の運動能力テストを実施し,そのなかから階段昇降能力に影響を及ぼす要因を検討することを目的とした.【対象】対象は,歩行が介助なしで可能(歩行補助具の使用は可)であった入院患者で,成人101名(男性46名,女性55名,平均年齢73.3±14.1歳)である.【方法】4段階での階段昇降能力評価および,10種類の運動能力テスト(握力,立位バランステスト,歩行スピードテスト,5回立ち上がりテスト,片脚スクワットテスト,片脚立位,閉眼立位,前方リーチテスト,踵上げテスト,交互片脚立ち)を実施し,階段昇降能力を従属変数,年齢・性別・運動能力テストを説明変数として重回帰分析を行った.また,重回帰分析にて選択された運動能力テストを1項目1点とし,その合計点と階段昇降能力との関連性を分析するために,χ2検定およびPearsonの相関分析を行った(p<0.05).【結果】重回帰分析の結果,左右いずれかで片脚スクワットが可,左右いずれかで片脚立位が5秒可,立ち上がりが上肢支持なしで5回可,交互片脚立ち5秒が手すりなしで可,立位バランステストの継ぎ足立位保持が10秒可,の5項目が選択された(R2=0.693).χ2検定の結果,運動能力テストの合計点と階段昇降能力に有意な関連性が認められた〔χ2値:122.885,degree of freedom(df):15,p=0.000〕.Pearsonの相関係数はr=0.85(p<0.001)であり,強い正の相関を示した.【結語】階段昇降能力に影響を及ぼす運動能力について検討することができた.本研究の結果より,階段を用いての評価や練習ができない状況であっても,昇降能力の把握や階段昇降能力向上のためのリハビリテーションプログラムにつながることが期待される.
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