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特集 身体障害者の移動手段
Introduction
Introduction
芳賀 信彦
1
Nobuhiko Haga
1
1東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚・運動機能学講座リハビリテーション医学
1Department of Rehabilitation Medicine, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo
pp.700-701
発行日 2018年8月10日
Published Date 2018/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201382
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2006年に国連総会で採択され2008年に発効した「障害者の権利に関する条約」の第二十条には,「個人の移動を容易にすること」というタイトルがつけられ1),この条約を締約した国には,「障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる」ことが求められている(表1).日本は2014年に本条約を批准し,これに対応して制定された「障害を理由とする差別の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が2016年4月から施行された.
このように「移動の確保」は障害者の社会参加にとって基本的な権利であり,特に運動器や感覚器に機能障害をもつ身体障害者では重要な意味をもつ.「総合リハビリテーション」誌では,発刊から間もない1975年に「身体障害者と移動手段」の特集が組まれたのをはじめとし,1981年に特集「移動手段」,1988年に講座「障害者の移動」,1990年に実践講座「障害者と共に生きる環境づくり」,1995年に特集「福祉の街づくり」,など障害者の移動に関する企画が組まれている.1975年の特集には5つの論文と1つの座談会が掲載され,論文のうち3つは自動車に関するもの,残りは地下鉄のシステムと電動車椅子に関するものである.これから40年以上が経過した今,この1975年の特集を振り返ることは,技術や社会システムが進歩した点,しなかった点を考えるのに役立つと考える.今回の特集に先立ち,1975年の特集(総合リハビリテーション,3巻7号)を少し振り返ってみたい.
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