巻頭言
人工知能(AI)とリハビリテーション医療
美津島 隆
1
1獨協医科大学リハビリテーション科学講座
pp.405
発行日 2018年5月10日
Published Date 2018/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201296
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今,AIは人間のさまざまな社会活動に入りこみ,人間もこれを利用しようとしています.その一番大きな原因は何と言っても人手不足です.将来日本では,少子化とともに労働人口が確実に減少してきます.そのときにAIを搭載したロボットが人口減少対策,労働生産性維持の切り札としてその活躍が期待されています.もちろん医療現場もその例外ではありません.診断から手術に至るまで,AIの活用が重要となってきます.
ところで,将棋の羽生竜王は,その著書の中で,最善手を選ぶ時にどうやったらうまくいくかを考えるのではなくて,どうやったらダメかを選択肢から排除していく過程が重要だと述べています.その過程では数多くの経験によって裏打ちされたものがどうしても必要になります.一般社会における問題の解決に答えは1つではないことがほとんどでしょう.しかし数ある選択肢の中で,ダメだというものはあるはずです.それを早期の段階で間引くようにすることが,問題解決への近道であると述べています.もちろんAIには過去の経験などというものはありませんから,ダメな選択肢を間引くことなく,膨大な経験データをひとつひとつ計算,検証することによって最善手を探し出していきます.
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