Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「泥棒役者」—<発達障害化する社会>を見据えながら<いい人論>を構築する
二通 論
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.193
発行日 2018年2月10日
Published Date 2018/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201232
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「泥棒役者」(監督/西田征史)は,優しい気持ちにさせてくれる.見終わった若者たちが交わす言葉も明るさにおいて一段上のグレードで弾み,1951年生まれの筆者にしても,世の中まだまだ捨てたものではない,と心中ちょっぴり呟くことになる.
それはさておき,筆者がやや驚いたのは,発達障害とその周辺群の量的増大という意味での<発達障害化する社会>の反映が見て取れたことだ.たとえば,ドキュメンタリー作品「夜間もやってる保育園」(監督/大宮浩一:2017)は,夜間にまつわる諸事情を入口にしつつ,中盤から,園長たちが口にする<気になる子>たちの増加に対応する療育部門の拡充がテーマとして浮上する.映画の世界において,発達障害化社会は,<既成事実>なのだ.
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