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はじめに
脳卒中発症直後からの急性期リハビリテーションの必要性は,古くから叫ばれていたものの,わが国における普及は遅れていた.しかし,「脳卒中治療ガイドライン2004」において「廃用症候群を予防し,早期の日常生活動作(activities of daily living;ADL)向上と社会復帰を図るために,十分なリスク管理のもとに急性期からの積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められる」と明記されたことを契機として,広く浸透するようになった.そして最新のガイドライン1)には,「廃用症候群の予防と早期からの運動学習によるセルフケアの早期自立を目標として,発症直後からベッドサイドでリハビリテーションを開始することが必要」と記載されており,急性期リハビリテーションの必要性は,脳卒中診療に専門的にかかわるほぼすべての医療者にとっての共通認識になったといえる.
そのため,脳卒中急性期リハビリテーションにかかわるリハビリテーション科専門医の最も重要な役割が,安静臥床をとらせようとする医療者に対し,早期リハビリテーションの必要性を説得し離床させることであった時代は終わり,機能予後をさらに改善させるための新たな役割を模索しなければいけない段階に入ったと思われる.
みやぎ県南中核病院(以下,当院)は,病床数310,平均在院日数10.4,年間400例以上の新規脳卒中患者が入院する急性期病院であるが,農村地の地域拠点病院で,あくまでも標準的急性期リハビリテーションを地域住民に提供することを使命としており,研究的,挑戦的なリハビリテーション科医師の新たな役割を模索するための施設ではない.本稿では,発症直後から開始することが当たり前(標準的)となった,脳卒中急性期リハビリテーションを標準レベルで公正に提供するための院内システムと地域連携,そしてスタッフの医療者としての誇りと向上心を維持拡大させる工夫について,当院の実際を紹介しながら概説する.
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