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はじめに
医療療養病床の対象患者は長期にわたり療養を必要とする患者のうち,比較的医療密度の高い医学的管理を有する者とされている.その内容は多岐にわたり,難病固有の支援に高い医学的管理が求められる患者,栄養手段が経管栄養・中心静脈栄養などで褥瘡も発生しており喀痰吸引が頻回に必要な患者への支援などさまざまである.
リハビリテーション職としてのかかわりでは,難病固有の支援には本人の生活行為が上手く行えるための環境調整,自助具提供等だけでなく,本人が安楽にかつ支援者の負担は少ない手段を考案し,指導・情報提供すること.栄養手段や褥瘡への支援には栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)委員会・褥瘡ケアチームと協調して摂食嚥下の能力評価やポジショニング方法を指導することを多く経験する.
また,それらの内容に当てはまらず,別の理由で長期入院をしている,いわゆる社会的入院の様相が強い患者も現実として存在する.
社会的入院となる背景は本人の医療必要度だけでなく家族関係や地域資源の課題などさまざまであり,課題解決が困難な事例も多い.
しかしながらそのような課題の中で解決可能と思われるものを整理して見きわめを図り,必要な手立てを講じる,ケースマネジメントによって居宅での暮らしにつなげられる事例も少なからず存在する.
今回,家族関係に崩れが生じ,医療療養病床での社会的入院となりつつあった患者に対し,生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance;MTDLP)を活用し,課題を整理し,目標を共有したチームで総合的な支援を行うことで居宅での暮らしを再獲得するに至った事例を経験した.
MTDLPはすべての領域にて活用可能であるが,療養型施設でのMTDLPの活用事例として,ここに紹介したい.
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