Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「秋日和」「東京物語」「麦秋」—<言外の意味の学習テキストとしての小津映画>を天気談義から捕捉する
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.271
発行日 2017年3月10日
Published Date 2017/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200895
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言葉を字義通り受け取る.言外の意味を捉えることが苦手.これは,自閉症スペクトラムなどの発達障害当事者がしばしば口にすることだ.となれば,セリフの奥に隠された別の意味を察するというところに面白さがある小津安二郎(1903〜1963)の作品は,苦手克服に向けた学習テキストになる可能性がある.この観点から3つのシーンを取り出してみた.「お早よう」(1959)では,加代子(沢村貞子)が弟の平一郎(佐田啓二)に「お天気の話ばっかりして,肝腎なこと一つも言わないで……」とボヤいていたが,天気談義に意味をもたせる自作への当てつけのようにも聞こえた.
本稿は,それに倣って「天気」に焦点を定める.
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