巻頭言
こどもの高次脳機能障害について思うこと—リーフレットの作成を通して
深澤 聡子
1
1国立成育医療研究センター
pp.183
発行日 2017年3月10日
Published Date 2017/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200871
- 有料閲覧
- 文献概要
昨年,東京都のリーフレット「もしかしたらお子さんは高次脳機能障害かもしれません」が完成しました.このリーフレットは東京都心身障害者福祉センターが作成したものですが,実はさまざまな人の思いがこめられています.
筆者は7年前,成人の病院から異動となり,現在は小児の急性期病院に勤務しています.作業療法の対象疾患は,こどもの病気すべてと言ってもよいほど多岐にわたり,そのなかには,脳症・脳血管疾患・脳外傷・脳腫瘍など脳機能障害を発症したこどもも大勢います.教科書にあるとおり,こどもの脳には可塑性があり,大人のそれとは比べものにならないほどの,驚くべき回復力をもっています.例えば,弛緩性の片麻痺のこどもが数週間で何事もなかったかのように歩き,早々に退院していくことがあります.また,高次脳機能障害がはっきりしにくい乳幼児の場合,医学的な管理が終了し,運動機能が回復すれば,直接自宅に退院し,リハビリテーションも終了となるケースが多いのが現状です.これは大変喜ばしいことではありますが,危うさも感じます.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.